FIT制度とは
FIT(Feed-in Tariff:固定価格買取制度)とは、再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスなど)で発電された電気を再エネ事業者が販売する際、小売電気事業者がいったん買い取り、その赤字分を国民が電気料金に上乗せして負担する制度です。この負担金を「再エネ賦課金」と言います。
再エネ事業者が電力会社に売る電気の価格は高い水準で固定されています。一方、電力市場(電気を売り買いする場)での電気の市場価格は日々変動します。
例えば、再エネ事業者の買取価格が35円/kWhの場合、次のようになります。
5/10
市場価格:10円/kWh ← 変動
再エネ賦課金で負担:25円/kWh
再エネ事業者の買取価格:35円/kWh ← 固定
5/11
市場価格:7円/kWh ← 変動
再エネ賦課金で負担:28円/kWh
再エネ事業者の買取価格:35円/kWh ← 固定
さらにわかりやすく
再エネ事業者が発電した電気は、電力市場による自由販売ではなく、小売電気事業者(=電気の小売りをする会社)が一定期間・一定価格で購入することが義務付けられています。その電気を家庭に届けます。
電気の値段(市場価格)は、需要と供給のバランスや天候によって毎日変わります。例えば「風が強い日」には発電が増えて電気が余り、市場価格が下がるため、再エネ事業者の利益が小さくなったり赤字になる可能性があります。
そのため、電力市場での電気の売り買いは、日々変動する市場価格に、「プレミアム価格」という政府からの補助金を足したものが、再エネ事業者に支払われます。「プレミアム価格」は1カ月単位で見直されます。
二種類の”電気”の値段
国民から見ると同じ”電気”でも、
① 電力会社が自前で発電した”電気” → 約10円/kWh
② 再エネ事業者が発電した”電気” → 35円/kWh
という二種類の電気の値段が混ざったものが、電気料金に反映されることになります。
本来、10円/kWhの価値しかないものに対し、国民が余分に「再エネ賦課金」25円/kWhを、(電力会社を通じて)再エネ事業者に支払うことになります。
購入の義務付け
電力会社は、再エネ事業者が発電した電気を、一定期間・一定の価格で必ず買い取ることが法律で義務付けられています。
国民から見ると、① 電力会社が自前で発電した”電気”だけを使いたくなります。しかし、電力会社が② 再エネ事業者が発電した”電気”の買取を義務付けられている以上、差分の「再エネ賦課金」は国民が負担し続けなければなりません。